2017年03月11日
名大入試問題 2017 (3)
今日は 3 月 11 日です。
Yahoo で「3.11」と検索すると、10 円が寄付されます。但し、3 月 11 日中だけです。今なら間に合いますよ。
2017 年名大入試問題の 3 問目です。そういえば、合格発表がすでにあったようですね。
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xyz 空間の 2 点 A( 0, 0, 2 ), P( a, b, 0 ) を通る直線を l とする。また、点 ( 2, 0, 0 ) を中心都市、半径が √2 である球面を S で表し、S のうち z 座標が z > 0 を満たす部分を T とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) l 上に点 Q がある。実数 t を [AQ] = t[AP] ( [XY]は二点 X, Y を結ぶベクトルを表す ) で定めるとき、点 Q の座標を a, b, t を使って表せ。
(2) l が S と相異なる 2 点で交わるような実数 a, b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。
(3) l が T と相異なる 2 点で交わるような実数 a, b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。
(1) 図より Q( at, bt, 2 - 2t ) です。
(2) l と S の交点を Q とすると、( at - 2 )2 + ( bt )2 + ( 2 - 2t )2 = 2 が成り立ちます。これを変形すると
( a2 + b2 + 4 )t2 - ( 4a + 8 )t + 6 = 0
これが異なる実数解を持つためには判別式 D > 0 である必要があります。従って
D = ( 4a + 8 )2 - 24( a2 + b2 + 4 )
= -8a2 + 64a - 24b2 - 32 > 0 より
a2 - 8a + 3b2 + 4 < 0
( a - 4 )2 + 3b2 < 12 が条件となります。
(3) P が球の内部にある場合、l は T 上の 1 点と、S の z ≤ 0 の領域の 1 点で交差することになります。従ってこの範囲では成り立たず、( a - 2 )2 + b2 > 2 でなければなりません。
P が球の外部にある場合、S の z > 0 の領域の 2 点で交差する場合が成り立つ範囲となります。f(t) = ( a2 + b2 + 4 )t2 - ( 4a + 8 )t + 6 としたとき、|AQ| < |AP| となることからこの関数は t < 1 の領域で実数解を持つので
(i) f(1) > 0
(ii) f'(1) > 0
の二つが成り立つことになります。(i) より
f(1) = ( a2 + b2 + 4 ) - ( 4a + 8 ) + 6 = ( a - 2 )2 + b2 - 2 > 0
なのでこれは先程求めた範囲に等しくなります。また、(ii) より
f'(1) = 2( a2 + b2 + 4 ) - ( 4a + 8 ) = 2( a - 1 )2 + 2b2 - 2 > 0
なので、( a - 1 )2 + b2 > 1 がもう一つの範囲となります。(2) の結果と合わせると、求める条件は
( a - 4 )2 + 3b2 < 12
( a - 2 )2 + b2 > 2
( a - 1 )2 + b2 > 1
となります。
( a - 4 )2 + 3b2 = 12 と ( a - 2 )2 + b2 = 2 の交点は ( a, b ) = ( 1, ±1 ) です。
また、( a - 2 )2 + b2 = 2 と ( a - 1 )2 + b2 = 1 の交点も ( a, b ) = ( 1, ±1 ) で、この 3 つの曲線は同じ点 ( a, b ) = ( 1, ±1 ) で交わります。それに注意して図示すると以下のようになります。
Yahoo で「3.11」と検索すると、10 円が寄付されます。但し、3 月 11 日中だけです。今なら間に合いますよ。
2017 年名大入試問題の 3 問目です。そういえば、合格発表がすでにあったようですね。
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xyz 空間の 2 点 A( 0, 0, 2 ), P( a, b, 0 ) を通る直線を l とする。また、点 ( 2, 0, 0 ) を中心都市、半径が √2 である球面を S で表し、S のうち z 座標が z > 0 を満たす部分を T とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) l 上に点 Q がある。実数 t を [AQ] = t[AP] ( [XY]は二点 X, Y を結ぶベクトルを表す ) で定めるとき、点 Q の座標を a, b, t を使って表せ。
(2) l が S と相異なる 2 点で交わるような実数 a, b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。
(3) l が T と相異なる 2 点で交わるような実数 a, b に関する条件を求め、ab 平面上に図示せよ。
(1) 図より Q( at, bt, 2 - 2t ) です。
(2) l と S の交点を Q とすると、( at - 2 )2 + ( bt )2 + ( 2 - 2t )2 = 2 が成り立ちます。これを変形すると
( a2 + b2 + 4 )t2 - ( 4a + 8 )t + 6 = 0
これが異なる実数解を持つためには判別式 D > 0 である必要があります。従って
D = ( 4a + 8 )2 - 24( a2 + b2 + 4 )
= -8a2 + 64a - 24b2 - 32 > 0 より
a2 - 8a + 3b2 + 4 < 0
( a - 4 )2 + 3b2 < 12 が条件となります。
(3) P が球の内部にある場合、l は T 上の 1 点と、S の z ≤ 0 の領域の 1 点で交差することになります。従ってこの範囲では成り立たず、( a - 2 )2 + b2 > 2 でなければなりません。
P が球の外部にある場合、S の z > 0 の領域の 2 点で交差する場合が成り立つ範囲となります。f(t) = ( a2 + b2 + 4 )t2 - ( 4a + 8 )t + 6 としたとき、|AQ| < |AP| となることからこの関数は t < 1 の領域で実数解を持つので
(i) f(1) > 0
(ii) f'(1) > 0
の二つが成り立つことになります。(i) より
f(1) = ( a2 + b2 + 4 ) - ( 4a + 8 ) + 6 = ( a - 2 )2 + b2 - 2 > 0
なのでこれは先程求めた範囲に等しくなります。また、(ii) より
f'(1) = 2( a2 + b2 + 4 ) - ( 4a + 8 ) = 2( a - 1 )2 + 2b2 - 2 > 0
なので、( a - 1 )2 + b2 > 1 がもう一つの範囲となります。(2) の結果と合わせると、求める条件は
( a - 4 )2 + 3b2 < 12
( a - 2 )2 + b2 > 2
( a - 1 )2 + b2 > 1
となります。
( a - 4 )2 + 3b2 = 12 と ( a - 2 )2 + b2 = 2 の交点は ( a, b ) = ( 1, ±1 ) です。
また、( a - 2 )2 + b2 = 2 と ( a - 1 )2 + b2 = 1 の交点も ( a, b ) = ( 1, ±1 ) で、この 3 つの曲線は同じ点 ( a, b ) = ( 1, ±1 ) で交わります。それに注意して図示すると以下のようになります。
2017年03月11日
名大入試問題 2017 (2)
2017 年名大入試問題の二問目です。個人的には一番悩まされた問題です。
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下図のような立方体を考える。この立方体の 8 つの頂点の上を点 P が次の規則で移動する。時刻 0 では点 P は頂点 A にいる。時刻が 1 増えるごとに点 P は、今いる頂点と辺で結ばれている頂点に等確率で移動する。例えば時刻 n で点 P が頂点 H にいるとすると、時刻 n + 1 では、それぞれ 1 / 3 の確率で頂点 D, E, G のいずれかにいる。自然数 n ≥ 1 に対して、(i) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 B, D, E のいずれかにいる確率を pn、(ii) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 C, F, H のいずれかにいる確率を qn、(iii) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 G にいる確率を rn とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) p2, q2, r2 と p3, q3, r3 を求めよ。
(2) n ≥ 2 のとき、pn, qn, rn を求めよ。
(3) 自然数 m ≥ 1 に対して、点 P が時刻 2m で頂点 A に初めて戻る確率 sm を求めよ。
(4) 自然数 m ≥ 2 に対して、点 P が時刻 2m で頂点 A に戻るのがちょうど 2 回目となる確率を tm とする。このとき、tm < sm となる m をすべて求めよ。
(1) 時刻 1 で点 P は B, D, E のいずれかにいるので p1 = 1 です。時刻 2 では B, D, E から A に戻る確率が 1 / 3、C, F, H へ移動する確率が 2 / 3 なので p2 = 0, q2 = 2 / 3, r2 = 0 となります。時刻 3 では C, F, H から G へ移動する確率が 1 / 3、B, D, E へ戻る確率が 2 / 3 で、q2 = 2 / 3 だったので p3 = 2/3 x 2/3 = 4 / 9、q3 = 0、r3 = 2/3 x 1/3 = 2 / 9 となります。
(2) n = 2m ( m は 1 以上の整数 ) のとき、点 P は C, F, H のいずれかにあるので p2m = r2m = 0 になります。また、n = 2m - 1 のとき、点 P は C, F, H のいずれにもないので q2m-1 = 0 です。
時刻 2m + 1 のとき、C, F, H にいた点 P は 2 / 3 の確率で B, D, E へ、1 / 3 の確率で G へ移動するので p2m+1 = (2/3)q2m、r2m+1 = (1/3)q2m が成り立ちます。また、時刻 2m + 2 のとき、B, D, E にいた点 P は 2 / 3 の確率で C, F, H へ、1 / 3 の確率で A へ移動し、G にいた場合は必ず C, F, H に移動するので q2m+2 = (2/3)p2m+1 + r2m+1 となります。従って、
q2m+2 = (2/3)・(2/3)q2m + (1/3)q2m = (7/9)q2m より q2m = (2/3)(7/9)m-1
であり、
p2m+1 = (4/9)(7/9)m-1、r2m+1 = (2/9)(7/9)m-1
となります。
(3) 時刻 2 のときは、(1) で述べたように 1 / 3 になります。それ以降は、時刻 2m - 1 のときに B, D, E にある確率 p2m-1 = (4/9)(7/9)m-2 に、A に移る確率 1 / 3 を掛ければ求められ、sm = (4/27)(7/9)m-2 になります。
(4) B, D, E にいる場合を X、C, F, H にいる場合を Y で表すことにします。まず、t1 = 0 は明らかです。t2 は A→X→A→X→A と遷移する場合しかないので、 1/3 x 1/3 = 1 / 9 です。s2 = 4 / 27 なので t2 < s2 となります。t3 は以下の二通りの確率の和になります。
A→X→A→X→Y→X→A 1/3 x 2/3 x 2/3 x 1/3 = 4 / 81
A→X→Y→X→A→X→A 2/3 x 2/3 x 1/3 x 1/3 = 4 / 81
よって、t3 = 8 / 81 で、s3 = 28 / 243 より t3 < s3 です。t4 の場合、
(a) A→X→A→X→Y→{ X or G }→Y→X→A
(b) A→X→Y→X→A→X→Y→X→A
(c) A→X→Y→{ X or G }→Y→X→A→X→A
となりますが ( X or G はいずれかに遷移するという意味です )、(a) の場合 A→X→A の部分とそれ以降に分けて考えると、それぞれ初めて A に戻る確率 s1, s3 に等しいので 1/3 x (4/27)(7/9) = 28 / 729 です。同様に (b) は 4/27 x 4/27 = 16 / 729、(c) は (4/27)(7/9) x 1/3 = 28 / 729 で、合わせて 72 / 729 になります。s4 = 196 / 2187 なので t4 > s4 で m = 4 のときは成り立ちません。
m = 4 の結果から、m ≥ 4 の場合の tm の計算式が以下のようになることがわかります。
tm = (1/3)・(4/27)(7/9)m-3 + (4/27)・(4/27)(7/9)m-4 + (4/27)(7/9)・(4/27)(7/9)m-5 + ... + (4/27)(7/9)m-3・(1/3)
= (2/3)(4/27)(7/9)m-3 + (4/27)2( m - 3 )(7/9)m-4
> [ (2/3)(9/7) + (4/27)(9/7)2 ](4/27)(7/9)m-2
= (162/147)(4/27)(7/9)m-2 > sm
従って、条件を満たす m は 2, 3 になります。
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下図のような立方体を考える。この立方体の 8 つの頂点の上を点 P が次の規則で移動する。時刻 0 では点 P は頂点 A にいる。時刻が 1 増えるごとに点 P は、今いる頂点と辺で結ばれている頂点に等確率で移動する。例えば時刻 n で点 P が頂点 H にいるとすると、時刻 n + 1 では、それぞれ 1 / 3 の確率で頂点 D, E, G のいずれかにいる。自然数 n ≥ 1 に対して、(i) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 B, D, E のいずれかにいる確率を pn、(ii) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 C, F, H のいずれかにいる確率を qn、(iii) 点 P が時刻 n までの間一度も頂点 A に戻らず、かつ時刻 n で頂点 G にいる確率を rn とする。このとき、次の問に答えよ。
(1) p2, q2, r2 と p3, q3, r3 を求めよ。
(2) n ≥ 2 のとき、pn, qn, rn を求めよ。
(3) 自然数 m ≥ 1 に対して、点 P が時刻 2m で頂点 A に初めて戻る確率 sm を求めよ。
(4) 自然数 m ≥ 2 に対して、点 P が時刻 2m で頂点 A に戻るのがちょうど 2 回目となる確率を tm とする。このとき、tm < sm となる m をすべて求めよ。
(1) 時刻 1 で点 P は B, D, E のいずれかにいるので p1 = 1 です。時刻 2 では B, D, E から A に戻る確率が 1 / 3、C, F, H へ移動する確率が 2 / 3 なので p2 = 0, q2 = 2 / 3, r2 = 0 となります。時刻 3 では C, F, H から G へ移動する確率が 1 / 3、B, D, E へ戻る確率が 2 / 3 で、q2 = 2 / 3 だったので p3 = 2/3 x 2/3 = 4 / 9、q3 = 0、r3 = 2/3 x 1/3 = 2 / 9 となります。
(2) n = 2m ( m は 1 以上の整数 ) のとき、点 P は C, F, H のいずれかにあるので p2m = r2m = 0 になります。また、n = 2m - 1 のとき、点 P は C, F, H のいずれにもないので q2m-1 = 0 です。
時刻 2m + 1 のとき、C, F, H にいた点 P は 2 / 3 の確率で B, D, E へ、1 / 3 の確率で G へ移動するので p2m+1 = (2/3)q2m、r2m+1 = (1/3)q2m が成り立ちます。また、時刻 2m + 2 のとき、B, D, E にいた点 P は 2 / 3 の確率で C, F, H へ、1 / 3 の確率で A へ移動し、G にいた場合は必ず C, F, H に移動するので q2m+2 = (2/3)p2m+1 + r2m+1 となります。従って、
q2m+2 = (2/3)・(2/3)q2m + (1/3)q2m = (7/9)q2m より q2m = (2/3)(7/9)m-1
であり、
p2m+1 = (4/9)(7/9)m-1、r2m+1 = (2/9)(7/9)m-1
となります。
(3) 時刻 2 のときは、(1) で述べたように 1 / 3 になります。それ以降は、時刻 2m - 1 のときに B, D, E にある確率 p2m-1 = (4/9)(7/9)m-2 に、A に移る確率 1 / 3 を掛ければ求められ、sm = (4/27)(7/9)m-2 になります。
(4) B, D, E にいる場合を X、C, F, H にいる場合を Y で表すことにします。まず、t1 = 0 は明らかです。t2 は A→X→A→X→A と遷移する場合しかないので、 1/3 x 1/3 = 1 / 9 です。s2 = 4 / 27 なので t2 < s2 となります。t3 は以下の二通りの確率の和になります。
A→X→A→X→Y→X→A 1/3 x 2/3 x 2/3 x 1/3 = 4 / 81
A→X→Y→X→A→X→A 2/3 x 2/3 x 1/3 x 1/3 = 4 / 81
よって、t3 = 8 / 81 で、s3 = 28 / 243 より t3 < s3 です。t4 の場合、
(a) A→X→A→X→Y→{ X or G }→Y→X→A
(b) A→X→Y→X→A→X→Y→X→A
(c) A→X→Y→{ X or G }→Y→X→A→X→A
となりますが ( X or G はいずれかに遷移するという意味です )、(a) の場合 A→X→A の部分とそれ以降に分けて考えると、それぞれ初めて A に戻る確率 s1, s3 に等しいので 1/3 x (4/27)(7/9) = 28 / 729 です。同様に (b) は 4/27 x 4/27 = 16 / 729、(c) は (4/27)(7/9) x 1/3 = 28 / 729 で、合わせて 72 / 729 になります。s4 = 196 / 2187 なので t4 > s4 で m = 4 のときは成り立ちません。
m = 4 の結果から、m ≥ 4 の場合の tm の計算式が以下のようになることがわかります。
tm = (1/3)・(4/27)(7/9)m-3 + (4/27)・(4/27)(7/9)m-4 + (4/27)(7/9)・(4/27)(7/9)m-5 + ... + (4/27)(7/9)m-3・(1/3)
= (2/3)(4/27)(7/9)m-3 + (4/27)2( m - 3 )(7/9)m-4
> [ (2/3)(9/7) + (4/27)(9/7)2 ](4/27)(7/9)m-2
= (162/147)(4/27)(7/9)m-2 > sm
従って、条件を満たす m は 2, 3 になります。