2016年03月21日
名大問題 2016 (6)
連休中はずっと外出していたわけですが、桜はまだのようです。
しかし、ソメイヨシノ以外の桜で咲いていたのを近所の公園で見つけたのでカメラで撮っておきました。
もう、葉が見えてしまっているということは、花も落ち始めているのかな。
最後の名古屋大入試問題。最後におまけも付けてあります。例によって合っている保証はありません。
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正の n に対して、その ( 1 と自分自身も含めた ) すべての正の約数の和を s(n) と書くことにする。このとき、次の問に答えよ。
(1) k を正の整数、p を 3 以上の素数とするとき、s(2kp) を求めよ。
(2) s(2016) を求めよ。
(3) 2016 の正の約数 n で、s(n) = 2016 となるものをすべて求めよ。
(1) 2kp の約数は、
1, 2, 22, ... 2k
p, 2p, 22p, ... 2kp
なので、
s(2kp)
= Σj{0→k}( 2j ) + Σj{0→k}( 2jp )
= Σj{0→k}( 2j( p + 1 ) )
= ( 2k+1 - 1 )( p + 1 )
となります。
(2) 2016 = 25・32・7 より、約数は
です。これをマジメに足しあわせて
s(2016)
= Σj{0→5}( 2j( 1 + 3 + 32 + 7 + 3・7 + 32・7 ) )
= ( 26 - 1 )・104
= 63・104 = 6552
となります。
(3) m の約数の和を s(m) としたとき、s(m) に対して、s( 2km ) は (1)(2) の結果から ( 2k+1 - 1 )s(m) となることがわかります。2016 = 25・32・7 より、s(n) = 2016 となる n を求めるには ( 26 - 1 )s(m) = 2016 を満たす m を見つければよいことになります。s(m) = 2016 / 63 = 32 なので、約数の和が 32 以下の数を n の中から調べると
s(1) = 1 s(3) = 4 s(32) = 13 s(7) = 8 s(3・7) = 32
となって、3・7 が一つ見つかりました。残りの約数は全て上記 5 つの数に 2k ( 1 ≤ k ≤ 5 ) を掛けあわせることで得られますが、その約数の和は上記で求めた約数の和に 2k+1 - 1 を掛けた数に等しくなり、この数が奇数であることから 32 になるためには s(m) が偶数でなければなりません。それは s(3) と s(7) で、
s(2・3) = 12 s(2・3) = 28 でこれより大きな数は 32 より大きくなるため該当するものはなく、
s(2・7) = 24 でこれより大きな数は 32 より大きくなるためこちらも該当するものはありません。
従って、求める数は 25・3・7 = 672 となります。
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約数の和 s(n) にはおもしろい性質があります。素数 p の約数は 1 と p だけなので、s(p) = p + 1 です。また、p のべき乗 pm の約数は 1, p, p2, ... pm であり、
s(pm) = Σj{0→m}( pj ) = ( pm+1 - ) / ( p - 1 )
となります。二つの素数の積 pq の約数は 1, p, q, pq であり、
s(pq) = 1 + p + q + pq = ( p + 1 )( q + 1 ) = s(p)s(q)
となり、さらに pmqn の約数は 0 ≤ j ≤ m, 0 ≤ k ≤ n を満たす任意の整数について pjqk で表わされるので、
s(pmqn)
= Σj{0→m}( Σk{0→n}( pjqk ) )
= Σj{0→m}( pjΣk{0→n}( qk ) )
= Σj{0→m}( pjs(qn) )
= s(pm)s(qn)
となります。この結果は一般化して
s( Πk( pkmk ) ) = Πk( s( pkmk ) )
となるので、もし m と n が共通の素因数を持たない、つまり互いに素であれば
s(mn) = s(m)・s(n)
が成り立ちます。
しかし、ソメイヨシノ以外の桜で咲いていたのを近所の公園で見つけたのでカメラで撮っておきました。
もう、葉が見えてしまっているということは、花も落ち始めているのかな。
最後の名古屋大入試問題。最後におまけも付けてあります。例によって合っている保証はありません。
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正の n に対して、その ( 1 と自分自身も含めた ) すべての正の約数の和を s(n) と書くことにする。このとき、次の問に答えよ。
(1) k を正の整数、p を 3 以上の素数とするとき、s(2kp) を求めよ。
(2) s(2016) を求めよ。
(3) 2016 の正の約数 n で、s(n) = 2016 となるものをすべて求めよ。
(1) 2kp の約数は、
1, 2, 22, ... 2k
p, 2p, 22p, ... 2kp
なので、
s(2kp)
= Σj{0→k}( 2j ) + Σj{0→k}( 2jp )
= Σj{0→k}( 2j( p + 1 ) )
= ( 2k+1 - 1 )( p + 1 )
となります。
(2) 2016 = 25・32・7 より、約数は
1 | 2 | 22 | 23 | 24 | 25 |
3 | 2・3 | 22・3 | 23・3 | 24・3 | 25・3 |
32 | 2・32 | 22・32 | 23・32 | 24・32 | 25・32 |
7 | 2・7 | 22・7 | 23・7 | 24・7 | 25・7 |
3・7 | 2・3・7 | 22・3・7 | 23・3・7 | 24・3・7 | 25・3・7 |
32・7 | 2・32・7 | 22・32・7 | 23・32・7 | 24・32・7 | 25・32・7 |
です。これをマジメに足しあわせて
s(2016)
= Σj{0→5}( 2j( 1 + 3 + 32 + 7 + 3・7 + 32・7 ) )
= ( 26 - 1 )・104
= 63・104 = 6552
となります。
(3) m の約数の和を s(m) としたとき、s(m) に対して、s( 2km ) は (1)(2) の結果から ( 2k+1 - 1 )s(m) となることがわかります。2016 = 25・32・7 より、s(n) = 2016 となる n を求めるには ( 26 - 1 )s(m) = 2016 を満たす m を見つければよいことになります。s(m) = 2016 / 63 = 32 なので、約数の和が 32 以下の数を n の中から調べると
s(1) = 1 s(3) = 4 s(32) = 13 s(7) = 8 s(3・7) = 32
となって、3・7 が一つ見つかりました。残りの約数は全て上記 5 つの数に 2k ( 1 ≤ k ≤ 5 ) を掛けあわせることで得られますが、その約数の和は上記で求めた約数の和に 2k+1 - 1 を掛けた数に等しくなり、この数が奇数であることから 32 になるためには s(m) が偶数でなければなりません。それは s(3) と s(7) で、
s(2・3) = 12 s(2
s(2・7) = 24 でこれより大きな数は 32 より大きくなるためこちらも該当するものはありません。
従って、求める数は 25・3・7 = 672 となります。
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約数の和 s(n) にはおもしろい性質があります。素数 p の約数は 1 と p だけなので、s(p) = p + 1 です。また、p のべき乗 pm の約数は 1, p, p2, ... pm であり、
s(pm) = Σj{0→m}( pj ) = ( pm+1 - ) / ( p - 1 )
となります。二つの素数の積 pq の約数は 1, p, q, pq であり、
s(pq) = 1 + p + q + pq = ( p + 1 )( q + 1 ) = s(p)s(q)
となり、さらに pmqn の約数は 0 ≤ j ≤ m, 0 ≤ k ≤ n を満たす任意の整数について pjqk で表わされるので、
s(pmqn)
= Σj{0→m}( Σk{0→n}( pjqk ) )
= Σj{0→m}( pjΣk{0→n}( qk ) )
= Σj{0→m}( pjs(qn) )
= s(pm)s(qn)
となります。この結果は一般化して
s( Πk( pkmk ) ) = Πk( s( pkmk ) )
となるので、もし m と n が共通の素因数を持たない、つまり互いに素であれば
s(mn) = s(m)・s(n)
が成り立ちます。