2014年12月30日

知の限界

仕事納めの前日に録画しておいた「NHK オックスフォード白熱教室」を昨日見ていました。

「知の限界」というタイトルで「無理数」「カオス理論」「不完全性定理」の三つをテーマにした講演でした。一般者向けの講演というだけあって、非常に難解なテーマをうまくまとめていました。しかし、理解した気にはさせられるのですが、考えれば考えるほどわけが分からなくなるテーマでもあります。不完全性定理の話では非常に簡潔に説明をしていました。なんとなくボンヤリとわかったような気にはなったので、もう一度定理の理解にチャレンジしたいと思います(実は二回ほど理解しようとチャレンジしてことごとく玉砕しています)。
最後に、人間の頭脳に限界はあるのかという話がありました。個人的には何らかの限界はあると思っています。しかし、まだその限界まで至っているわけでないとも信じています。「数の理論の中では知ることができないものがある」ことが証明できてしまうなんて、「不完全性定理」が発表される前はだれも思いもしなかったことでしょうから、これからも驚異的な発見というのはあると思うし、それを楽しみにしていきたいですね。

ということで、これが本当に今年最後の数学の問題になりそうです。今回は「数論bot ( @N_problem_bot )」からの出題です。

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■ n を 2 以上の整数とし、p を素数とする。n | p - 1 かつ p | n3 - 1 ならば 4p - 3 は平方数であることを示せ(出典:mathlinks)

n3 - 1 = ( n - 1 )( n2 + n + 1 ) より p | n3 - 1 ならば p | n - 1 または p | n2 + n + 1 が成り立ちます ( ちなみにこれは p が素数だから成り立ちます )。

p | n - 1 かつ n | p - 1 ならば p ≤ n - 1 かつ n ≤ p - 1 でありこれは成り立たちません。よって、p | n2 + n + 1 かつ n | p - 1 が成り立つことになります。。

n | p - 1 より p - 1 = Kn とすれば、p = Kn + 1 なので、Kn + 1 | n2 + n + 1 が成り立ちます。任意の n に対してこれを満たす K として n + 1 があり、このときは n2 + n + 1 = Kn + 1 なので、K は n + 1 より大きくはなれません。また、K ≤ 0 のとき p は 1 以下の数となるので無視できます。そこで、1 ≤ K ≤ n + 1 に対して、n + 1 以外に Kn + 1 | n2 + n + 1 を満たす K を考えます。
K = n のときは、Kn + 1 = n2 + 1 で、n2 + n + 1 との剰余は n になります。K = n - 1 の場合、Kn + 1 = ( n - 1 )n + 1 = n2 - n + 1 で、剰余は 2n です。このように、剰余は n ずつ大きくなり、やがて Kn + 1 を超えるのでさらに割ることができますが、剰余が n の倍数であるのに対し、Kn + 1 は n の倍数ではなりえないので、割り切ることができません。従って、Kn + 1 | n2 + n + 1 を満たす K は n + 1 以外にはありません。
最後に、K = n + 1 のとき p = n2 + n + 1 なので、4p - 3 = 4( n2 + n + 1 ) - 3 = 4n2 + 4n + 1 = ( 2n + 1 )2 であり、平方数であることが示されました。

K = n - L としたとき、剰余は ( L + 1 )n と表されます。K = L = n / 2 ( n | p - 1 より p が奇素数なら n はかならず偶数です ) のときに剰余が n2 / 2 + n となり、Kn + 1 = n2 / 2 + 1 より剰余は初めてさらに割ることができるようになります。K = 1 のとき Kn + 1 = n なので、剰余は必ず 1 になります。n = 10 を例にすると、n2 + n + 1 = 111 なので、剰余は以下のように変化します。

KKn + 1剰余
111110
1010110
99120
88130
77140
66150
5519
44129
33118
2216
1111


例によって合っている保証はなく、他にもっとエレガントな解法もあると思います。これでも結構悩んだんですけどね。

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