2016年03月17日

名大問題 2016 (4)

昼からは暖かい一日でした。夜も寒くないというのは久しぶりのような気がします。

丸善出版の「パターン認識と機械学習」という書籍があります。以前、上巻だけを購入して読み進めていました。上巻は 6,500 円と高価でしたが、下巻はさらに高く 7,800 円もします。買うのはずっとためらっていたものの、上巻もだいぶ読み進めたので、本屋に立ち寄ったときに衝動買いしてしまいました。まだ上巻の残りを読んでいるところなので、もう少ししてから読もうと考えています。パターン認識関連の書籍はいろいろと買いましたが、高価なだけにこの本が一番まとまっている上に説明もある程度は細かく書かれていると思います。しかし、全部理解するにはあと 2, 3 冊、統計関係の書籍は必要になります。読むだけでもかなり苦労しました。

いい本だと思うので、図書館などにあれば借りて読むというのもオススメです。

2016 年名古屋大入試の理系最後の問題です。まだ、文系問題がふたつ残ってます。例によって合っている保証はありません。

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次の問に答えよ。ただし 2 次方程式の重解は 2 つと数える。

(1) 次の条件 (*) を満たす整数 a, b, c, d, e, f の組をすべて求めよ。

(*)
・2 次方程式 x2 + ax + b = 0 の 2 つの解が c, d である。
・2 次方程式 x2 + cx + d = 0 の 2 つの解が e, f である。
・2 次方程式 x2 + ex + f = 0 の 2 つの解が a, b である。

(2) 2 つの数列 { an }, { bn } は、次の条件 (**) を満たすものとする。

(**) すべての正の整数 n について、an, bn は整数であり、2 次方程式 x2 + anx + bn = 0 の 2 つの解が an+1, bn+1 である。

このとき、

(i) 正の整数 m で、| bm | = | bm+1 | = | bm+2 | = ... となるものが存在することを示せ。
(ii) 条件 (**) を満たす数列 { an }, { bn } の組をすべて求めよ。

(1) 二次方程式の解と係数の関係から

a = -c - d --- (a)
b = cd --- (b)
c = -e - f --- (c)
d = ef --- (d)
e = -a - b --- (e)
f = ab --- (f)

が成り立ちます。(b) を (f) に代入して f = acd、さらに (d) を代入すれば f = acef になります。
f ≠ 0 のとき、ace = 1 であり、これを満たす整数は a, c, e が全て 1 か、ひとつが 1 で残りが -1 の場合のみです。また、f ≠ 0 なので (b)(d) から b ≠ 0, d ≠ 0 となります。
(a) + (c) + (e) より

a + c + e = -( a + b + c + d + e + f )
2( a + c + e ) = -( b + d + f )

となるので、a = c = e = 1 なら b + d + f = -6 であり、(b)(d)(f) から b = d = f になります。
従って、この場合は { a, b, c, d, e, f } = { 1, -2, 1, -2, 1, -2 } です。
a = c = -1, e = 1 の場合、(a)(c)(e) より b = 0, d = 2, f = 0 となり、f ≠ 0 に反します。対称性から c = e = -1 かつ a = 1 の場合と e = a = -1 かつ c = 1 の場合も b, d, f のいずれかにゼロを含むため仮定に反します。

f = 0 のとき、(d) より d = 0, (b) より b = 0 となり、(a)(c)(e) より a = -c, c = -e, e = -a なので

a = -c = e = -a

となります。これを満たすのは a = 0 のときしかありません。対称性から同様に c = 0, e = 0 となるので、{ a, b, c, d, e, f } = { 0, 0, 0, 0, 0, 0 } となります。組はこの二つとなります。

(2)(i) 二次方程式の解と係数の関係から

am = -am+1 - bm+1 --- (a)
bm = am+1bm+1 --- (b)

が成り立つので、(b) より

bm = am+1bm+1 = am+1am+2bm+2 = ...

となります。任意の k > m に対して ak ≠ 0 ならば

bm / bm+1 = am+1
bm / bm+2 = am+1am+2
:

となるので、bm に対して bm+1 以降は全て約数とならなければなりません。また、

|am+1| ≤ |am+1am+2| ≤ ...

より

|bm / bm+1| ≤ |bm / bm+2| ≤ ...

なので

|bm+1| ≥ |bm+2| ≥ ...

となって、正の整数は有限なので必ずある値に収束します。最後に、am+1 = 0 となったとき、(b) より bm = 0 で、(b) の添字を一つ前にずらすと

bm-1 = ambm

なので bm-1 = 0 です。つまり、0 = b1 = b2= ... でありこの場合も成り立ちます。よて、命題が成り立つことが証明されました。

(2)(ii) (i) で証明した状態になったとき、(b) より bm ≠ 0 なら am はすべて ±1 となります。(a) にこの値を代入することで ( am, bm ) は ( bm ≠ 0 であることに注意して )

( am, bm ) = ( 1, -2 ), ( -1, 2 )

の二通りが得られます。( am, bm ) は解を ( am+1, bm+1 ) とする二次方程式の係数だったので、( 1, -2 ) のときは

x2 + x - 2 = 0

の解が ( am+1, bm+1 ) になります。その解は x = 1, -2 で、| am | = 1 という条件を満たすのは ( am+1, bm+1 ) = ( 1, -2 ) です。逆に、( am+1, bm+1 ) = ( 1, -2 ) なら (a)(b) より

am = -1 - ( -2 ) = 1
bm = 1・( -2 ) = -2

なので、全ての m に対して ( am, bm ) = ( 1, -2 ) ということになります。

( -1, 2 ) のときは

x2 - x + 2 = 0

の解が ( am+1, bm+1 ) になりますが、この方程式は整数解はおろか実数解もないので除外できます。

最後に、m がある値以上になったときに bm = 0 なら(a) より am = -am+1 なので、以降の am は絶対値の等しい値が符号だけ変化しながら続くことになります。その値を N としたとき、( am+1, bm+1 ) = ( N, 0 ) なら (a)(b) より

am = -N - 0 = -N
bm = N・0 = 0

であり、その前についても符号だけ変わって絶対値は変わりません。よって、任意の整数 N について { am } = { N, -N, N, ... } で { bm } = { 0, 0, ... } となります。

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