2016年05月13日
13日の金曜日
今日は「13日の金曜日」です。
イエスが磔刑にされたのが云々というのはウソのようで、はっきりしたことはわかってないみたいですね。中世の頃から始まった迷信だそうですが、日本ではやはりあの映画から有名になったのではないでしょうか。一作目は面白かったと思います。二作目以降も見たような気もしますがほとんど覚えてません。ジェイソンが首吊り状態になっても自力でほどいてしまうシーンを覚えているんですけど、あれは何作目だったんでしょうかね。
今回は「マテマティカ 2」さんから拾った問題です。かなり苦戦した上に、合っているかどうか自信は全くありません。せっかく解いたので載せておきます。
-----
二次正方行列 A, B が次の二条件を満たしている。
(i) A - B = AB
(ii) ( A + B )n = 0 となる正の整数 n が存在する
このとき、B を A と E の一次式で表わせ。
まず、次の命題を証明します。
二次行列 A が逆行列を持たないとき、An = [ tr(A) ]n-1A
但し、tr(A) は A の対角成分の和とする。
とします。このとき、
となりますが、A が逆行列を持たないとき ad - bc = 0 なので、ad = bc より
となります。
An = (a+d)n-1A が成り立つと仮定します。このとき
= (a+d)nA
なので、帰納法により命題が証明されました。
An = 0 のとき、A が逆行列を持てばそれを n - 1 回掛けることで A = 0 となり、0 は逆行列を持たないので矛盾します。従って、A ≠ 0 のとき、An = 0 が成り立つならば、A は逆行列を持ちません。このとき、An = (a+d)n-1A = 0 が成り立つので、a + d = 0 かつ |A| = 0 であることになります。A2 = (a+d)A なので、An = 0 となる n が存在するならばその最小値は 1 か 2 のいずれかであることになります ( n = 1 ならば A = 0 です )。
( A + B )n = 0 が成り立つとき、
とすれば
a + e + d + h = 0 --- (1)
| A + B | = ( a + e )( d + h ) - ( b + f )( c + g ) = 0 --- (2)
が成り立ちます。B = pA + qE ( 但し p ≠ 0 ) とすると、
なので、(1) より
a + ( pa + q ) + d + ( pd + q ) = ( p + 1 )( a + d ) + 2q = 0 --- (1')
であり、(2) より
[ a + ( pa + q ) ][ d + ( pd + q ) ] - ( b + pb )( c + pc )
= [ ( p + 1 )a + q ][ ( p + 1 )d + q ] - ( p + 1 )2bc
= ( p + 1 )2( ad - bc ) + q( p + 1 )( a + d ) + q2 = 0 --- (2')
になります。
(1') を (2') に代入して整理すると、
( p + 1 )2|A| = q2 --- (3)
となります。次に、
A - B = ( 1 - p )A - qE
AB = pA2 + qA
なので、A - B = AB ならば
( 1 - p )A - qE = pA2 + qA
となります。これを整理すると
A2 - [ ( 1 - p - q ) / p ]A + ( q / p )E = 0
となりますが、ケーリー・ハミルトンの公式から
( 1 - p - q ) / p = a + d --- (4)
q / p = |A| --- (5)
が成り立つ必要があります。従って、(3),(5) から
q2 / ( p + 1 )2 = q / p ( 但し p ≠ -1 とする ) より
q = ( p + 1 )2 / p --- (6)
となり、(5) に代入して
|A| = [ ( p + 1 ) / p ]2 --- (7)
(4) に代入して
{ 1 - p - [ ( p + 1 )2 / p ] } / p
= [ p - p2 - ( p2 + 2p + 1 ) ] / p2
= -( 2p2 + p + 1 ) / p2 = a + d --- (8)
となります。(7)(8) を満たす p が存在するとき、(6) によって q が決定し、B の一次式も決まります。
p = -1 のとき、(3) より q = 0 なので (6) を満たします。B = -A より A + B = 0 であり、A - B = 2A、AB = -A2 なので、
A2 + 2A = 0
より |A| = 0、a + d = -2 で、これらも (7)(8) を満たし、特別扱いする必要はなくなります。
最後に、p = 0 のときは B = qE より A - B = A - qE、AB = qA なので、
( 1 - q )A = qE
となり、これが成り立つのは A = [ q / ( 1 - q ) ]E ( q ≠ 1 ) のときに限ります。r = q / ( 1 - q ) とすれば q = r / ( 1 + r ) なので、
B = [ r / ( 1 + r ) ]E 但し A = rE
となります。
B の一次式を書くと、
B = pA + [ ( p + 1 )2 / p ]E
但し、|A| = [ ( p + 1 ) / p ]2 かつ a + d = -( 2p2 + p + 1 ) / p2
となります。例えば p = 1 のとき、B = A + 4E となります。また、|A| = 4、a + d = -4 です。これを満たす A として
があります。このとき、
となり、
より ( A + B )2 = 0 となります。
イエスが磔刑にされたのが云々というのはウソのようで、はっきりしたことはわかってないみたいですね。中世の頃から始まった迷信だそうですが、日本ではやはりあの映画から有名になったのではないでしょうか。一作目は面白かったと思います。二作目以降も見たような気もしますがほとんど覚えてません。ジェイソンが首吊り状態になっても自力でほどいてしまうシーンを覚えているんですけど、あれは何作目だったんでしょうかね。
今回は「マテマティカ 2」さんから拾った問題です。かなり苦戦した上に、合っているかどうか自信は全くありません。せっかく解いたので載せておきます。
-----
二次正方行列 A, B が次の二条件を満たしている。
(i) A - B = AB
(ii) ( A + B )n = 0 となる正の整数 n が存在する
このとき、B を A と E の一次式で表わせ。
まず、次の命題を証明します。
二次行列 A が逆行列を持たないとき、An = [ tr(A) ]n-1A
但し、tr(A) は A の対角成分の和とする。
A = | | | a | c | | |
| | b | d | | |
とします。このとき、
A2 = | | | a | c | || | a | c | | | = | | | a2+bc | ac+cd | | |
| | b | d | || | b | d | | | | | ab+bd | bc+d2 | | |
となりますが、A が逆行列を持たないとき ad - bc = 0 なので、ad = bc より
A2 = | | | a2+ad | c(a+d) | | | = | | | a(a+d) | c(a+d) | | | =(a+d)A |
| | b(a+d) | ad+d2 | | | | | c(a+d) | d(a+d) | | |
となります。
An = (a+d)n-1A が成り立つと仮定します。このとき
An+1 | = | | | a(a+d)n-1 | c(a+d)n-1 | || | a | c | | |
| | b(a+d)n-1 | d(a+d)n-1 | || | b | d | | |
= | | | (a2+bc)(a+d)n-1 | (ac+cd)(a+d)n-1 | | |
| | (ab+bd)(a+d)n-1 | (bc+d2)(a+d)n-1 | | |
= | | | a(a+d)(a+d)n-1 | c(a+d)(a+d)n-1 | | |
| | b(a+d)(a+d)n-1 | d(a+d)(a+d)n-1 | | |
= (a+d)nA
なので、帰納法により命題が証明されました。
An = 0 のとき、A が逆行列を持てばそれを n - 1 回掛けることで A = 0 となり、0 は逆行列を持たないので矛盾します。従って、A ≠ 0 のとき、An = 0 が成り立つならば、A は逆行列を持ちません。このとき、An = (a+d)n-1A = 0 が成り立つので、a + d = 0 かつ |A| = 0 であることになります。A2 = (a+d)A なので、An = 0 となる n が存在するならばその最小値は 1 か 2 のいずれかであることになります ( n = 1 ならば A = 0 です )。
( A + B )n = 0 が成り立つとき、
B = | | | e | g | | |
| | f | h | | |
とすれば
a + e + d + h = 0 --- (1)
| A + B | = ( a + e )( d + h ) - ( b + f )( c + g ) = 0 --- (2)
が成り立ちます。B = pA + qE ( 但し p ≠ 0 ) とすると、
B = | | | pa+q | pc | | |
| | pb | pd+q | | |
なので、(1) より
a + ( pa + q ) + d + ( pd + q ) = ( p + 1 )( a + d ) + 2q = 0 --- (1')
であり、(2) より
[ a + ( pa + q ) ][ d + ( pd + q ) ] - ( b + pb )( c + pc )
= [ ( p + 1 )a + q ][ ( p + 1 )d + q ] - ( p + 1 )2bc
= ( p + 1 )2( ad - bc ) + q( p + 1 )( a + d ) + q2 = 0 --- (2')
になります。
(1') を (2') に代入して整理すると、
( p + 1 )2|A| = q2 --- (3)
となります。次に、
A - B = ( 1 - p )A - qE
AB = pA2 + qA
なので、A - B = AB ならば
( 1 - p )A - qE = pA2 + qA
となります。これを整理すると
A2 - [ ( 1 - p - q ) / p ]A + ( q / p )E = 0
となりますが、ケーリー・ハミルトンの公式から
( 1 - p - q ) / p = a + d --- (4)
q / p = |A| --- (5)
が成り立つ必要があります。従って、(3),(5) から
q2 / ( p + 1 )2 = q / p ( 但し p ≠ -1 とする ) より
q = ( p + 1 )2 / p --- (6)
となり、(5) に代入して
|A| = [ ( p + 1 ) / p ]2 --- (7)
(4) に代入して
{ 1 - p - [ ( p + 1 )2 / p ] } / p
= [ p - p2 - ( p2 + 2p + 1 ) ] / p2
= -( 2p2 + p + 1 ) / p2 = a + d --- (8)
となります。(7)(8) を満たす p が存在するとき、(6) によって q が決定し、B の一次式も決まります。
p = -1 のとき、(3) より q = 0 なので (6) を満たします。B = -A より A + B = 0 であり、A - B = 2A、AB = -A2 なので、
A2 + 2A = 0
より |A| = 0、a + d = -2 で、これらも (7)(8) を満たし、特別扱いする必要はなくなります。
最後に、p = 0 のときは B = qE より A - B = A - qE、AB = qA なので、
( 1 - q )A = qE
となり、これが成り立つのは A = [ q / ( 1 - q ) ]E ( q ≠ 1 ) のときに限ります。r = q / ( 1 - q ) とすれば q = r / ( 1 + r ) なので、
B = [ r / ( 1 + r ) ]E 但し A = rE
となります。
B の一次式を書くと、
B = pA + [ ( p + 1 )2 / p ]E
但し、|A| = [ ( p + 1 ) / p ]2 かつ a + d = -( 2p2 + p + 1 ) / p2
となります。例えば p = 1 のとき、B = A + 4E となります。また、|A| = 4、a + d = -4 です。これを満たす A として
A = | | | -1 | -1 | | |
| | 1 | -3 | | |
があります。このとき、
B = A + 4E = | | | 3 | -1 | | |
| | 1 | 1 | | |
A - B = | | | -4 | 0 | | |
| | 0 | -4 | | |
AB = | | | -4 | 0 | | |
| | 0 | -4 | | |
となり、
A + B = | | | 2 | -2 | | |
| | 2 | -2 | | |
より ( A + B )2 = 0 となります。